人々が安心して快適に暮らせる地域をつくれるのが
土木工学の魅力です

上三垣 かおり(かみみがき かおり)さん

東武鉄道株式会社
鉄道事業本部改良工事部 部員
(2010年卒業,2015年執筆)




鉄道輸送の安全性や乗客の利便性を向上させる仕事をしています

 私は今,鉄道構造物の新設や改良工事の仕事に携わっています.
鉄道構造物とは,線路や鉄道橋,線路を補強する擁壁(ようへき)などを指します.鉄道と道路が上下に交差する場所や,河川の改修にともなう鉄道橋の架け替えなどの工事を,安全かつスムーズに行うのが主な内容です.
 ひとくちに工事といっても,鉄道構造物は,計画から完成,維持管理まで,何年もの時間がかかります.また,工事は沿線地域の方の生活にも密接に関係してくるので,自治体をはじめ,工事を請け負うゼネコン,企画・調査などを行うコンサルティング会社,社内の関係部署など,様々な立場の人たちとの協議・調整が必要です.
 入社後,初めて担当を任されたのが,東武伊勢崎線伊勢崎駅付近の連続立体交差事業です.これは,踏切事故や交通渋滞を緩和するための,鉄道の高架化(地上高くに線路をつくり,踏切をなくすこと)を目的としたもの.計画から設計,施行,大規模な線路切替工事,精算確認検査までを経験しました.
 とくに印象に残っているのは,深夜の工事です.数百人規模の人が作業にあたる高架化切替工事を始発までに終わらせるには,関係各所と調整して,分刻みの綿密な計画を立てる必要があります.たった一夜の作業ですが,成功に向けて多大な労力が必要でした.
 工事完了の明け方,いつも通りに列車が走る姿を確認した際には,「ああ,無事に終わったんだ」と,感動しました.


 
大学で幅広く学べたことでより広い視野をもてるようになりました

 川や山,海など,自然が好きな私は,それらに触れることができる学問に興味がありました.その中でも,人が共存するために建設された土木構造物について学びたいと考え,高専へ進学.土木工学を専攻しました.
 背景には,実家が建設業を営んでいて,土木が身近な存在だったこともあると思います.土や木材などの土木資材の匂いをかいだり,徐々に現場が完成していく姿を眺めたりすることが,小さいころから好きだったんです.卒業後は,土木工学についてより幅広い知識を身につけたいと思い,名古屋大への進学を選びました.
 大学では,整った実験設備のなかで学べることはもちろんですが,人や車,物流の詳しい動きの調査や,日本の戦後の国土・交通の復興計画の詳細など,高専では学ぶことのなかった授業を選択受講できたのが自分のためになりました.大学の学びを通して,社会インフラの様々な関連性を幅広く考えられるようになったのも,大きな収穫だと感じています.


男子ばかり!? でも大丈夫!支えになった「女子の会」

 理系の学部ならどこも,学生の割合は男子が大部分をしめていると思います.私も,同期の女子は私も入れて2名だけという環境でした.
 ですが,戸惑うことはなかったですね.男子とのコミュニケーションは,女子のように細かく気を遣う必要がなく,思ったことを率直に言い合えます.学問をする上では,それがむしろプラスに働くような気がします.
 また,女子をサポートする制度も用意されています.名古屋大には,学生や大学院生,学科の教師陣で構成される「名大土木女子の会」があり,定期的に会合が開かれています.日常の何気ない話題から悩み事,将来の進路まで,世代を超えてさまざまなことを相談できる,とても楽しい時間です.
 名古屋大は総合大学ですから,部活動やサークル活動に参加することでも,男女問わずたくさんの人と出会うことができます.私は学生寮(女子寮)に入っていたので,そこで多くの友人ができました.彼女たちとは,今でも連絡を取り合っているんですよ.


好きなものを「楽しく学ぶ」ことが将来の仕事にも生きてきます

 大学で学んだことで,私は,土木工学とは,橋やダム,トンネルなどの構造物を造るためだけではなく,交通や環境のありかたまでをも計画する,とても幅広い学問だということがわかりました.
 実際に土木工学は,社会基盤を支える学問として,私たちが日常的に利用している鉄道や道路,河川,海岸など,生活のあらゆる部分で活用され,人々が安心して快適に暮らすことができる地域づくりに役立っています.
 私が今携わっている鉄道構造物の計画・設計・施工管理の仕事は,まさに,大学で学んだ基礎と直結しています.ですから,日々,興味を持って楽しく仕事に取り組めています.
 自分のアイディアが形になっていく過程を味わえることは,とても幸せです.ものづくりはとても楽しいですよ.高校生の皆さんも好きなものを見つけて,ぜひ楽しんで勉学に励んでください.


 (写真)勤務する当社のホームにて.「今の仕事のほかに,駅務係や車掌も担当しました.体を動かすのが好きなので,工事の現場監督も苦にならず,楽しく務められています」