専攻長挨拶

専攻長から皆様へ

国立大学法人 名古屋大学 | 大学院工学研究科 土木工学専攻 | 工学部 環境土木・建築学科 環境土木工学プログラム 専攻長

新型コロナウィルス感染症の影響を受け,様々な対策,行動制限のもとで過ごす日々が始まってから2年以上が経ちました。昨年度はようやくこの感染症に対する手探り状態から脱し,感染症拡大防止を図りつつ大学としての役割を取り戻そうとした1年であったかと思います。

日本社会では,オンラインの活用によるWeb会議,テレワークなどが急速に普及するにつれ,大学の教育現場でもICT化が加速し,移動時間,場所に制約されない新しい教育形態として対面講義とオンライン講義のハイブリッドによる教育を提供できるようになってきました。世界ではこれまでにこの感染症によって600万人以上が命を落としており,まだ今後の感染症の行方/推移には予断は許しませんが,いやおうなしに対応せざるを得ない状況からスタートしたコロナ禍での試みから見ると,負の側面を前向きに捉えることで,コロナの影響が終息した後にも繋がる新たな展開が沢山あったと感じております。

一方,グループワークなどを通して培われる対話能力,喧々諤々の議論の中からの新たな気づきや調整能力,実験などで経験する失敗から学ぶ力,友人や先輩・後輩とのつながりなどから得られる人間力は,大学時代のかけがえのない財産であり,以前と全く同じ形か少し違う形であるかは別にしても,必ず取り戻さなくてはいけない大学生活の大事なものです。本年度は,これまで以上に,変えてゆくべきところ,戻すべきところをしっかりと見極めながら,さらにより良い大学教育につながるよう土木教室一丸となって取り組んでいきたいと思います。

さて,名古屋大学土木教室は東海地域を襲った1959年9月26日の伊勢湾台風の激甚被害を契機にして,1961年4月1日に工学部土木工学科として創設されてから昨年60年を迎えました。その10年前の50周年の時は,国中が東日本大震災からの復興を目指し立ち上がろうとする最中であり,その後の10年間においては,一連の地震で初めて2度の震度7が観測された熊本地震,全国各地でこれまでの豪雨の計測記録を上回った平成30年7月豪雨,令和元年東日本台風などこれまでの経験にない自然災害が頻発しました。新型コロナウィルス感染症拡大においては,大都市圏の脆弱さが露呈し,さらには想定される南海トラフ地震や地球温暖化に伴う極端気象による風水害の激甚化も考えると,平時の効率性に偏重した社会や国土構造の在り方を再考せざるを得ません。また持続可能な発展のために,2015年の国連総会で採択されたSDGsや脱炭素社会へ向けた取り組みも待ったなしです。激変する社会環境の中,強靭性,持続可能性を兼ね備えた新たな社会,国土づくりに向けて,土木工学分野での研究・技術開発,人材育成の両面は必須であり,名大土木教室が背負っている使命・責任を肝に銘じて教室の総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

名古屋大学土木教室に,引き続きご支援,ご助言を頂ければ幸いです。

令和4年4月26日
環境土木工学プログラム主任
土木工学専攻長
野田利弘